企業は営利組織ではない!-ドラッカーに学ぶ利益の本質
こんにちは。
代表の渕脇です。
僕は、独立開業してからしばらくの間、クライアントからお金をもらうこと、儲けることに対して、なんとも言えない罪悪感を抱いていました。
変な話なのですが、お客さんからお金をいただくときに申し訳ない気持ちになっていたのです。。
おそらく、そういう気持ちになる人は多いと思います。
お金をもらうことに対する心理的なブロックがあるのです。
これは、お金は汚いものだ、自分だけ得をするのは良くないことだ、という価値観があるからではないでしょうか。
つまり、金儲けに対するイメージが悪いのだと思います。
この問題についても、ドラッカーは著書の中で触れています。
企業=営利組織ではない
ドラッカーの著書、マネジメントの中に以下のような記述があります。
利益は、個々の企業にとっても、社会にとっても必要である。しかしそれは企業や企業活動にとって目的ではなく条件である。企業活動や企業の意思決定にとって、原因や理由や根拠ではなく、その妥当性の判断基準となるものである。
「利益は、企業や企業活動にとって目的ではなく条件である。妥当性の判断基準である。」
とはどういうことなのでしょうか。
企業の目的は、社会貢献であると述べています。
社会的に生じている問題を解決して、社会に貢献することが企業活動の本当の目的であるから、企業は営利組織ではないと、この著書の中で述べています。
そして、企業活動を継続して行うには、利益が必要になります。
従業員や経営者の日々の暮らしを支えることができなければ、企業活動を継続することができません。
ボランティアでは存続することができないのです。
したがって、利益とは条件であると述べています。
裏を返せば、その企業活動が妥当であればきちんと利益が出るということです。
利益が出ない場合には、その活動が妥当なものではない、すなわち、社会貢献ができていないということです。
つまり、利益とは、その活動が妥当なものであるかどうかの判断基準になるというのです。
ドラッカーが述べているのは、企業活動というのは、そもそもが社会貢献を目的に行われるべきものであって、利益を生むことが目的ではないということです。
金儲けのためにビジネスをやるというは、本末転倒なのかもしれません。
利益に対する理解が甘いために、冒頭のような罪悪感を感じるのかもしれません。
利益の本質に対する誤解
利潤動機なるものは、的はずれであるだけでなく害を与えている。この観念ゆえに、利益の本質に対する誤解と、利益に対する根深い敵意が生じている。この誤解と敵意こそ、現代社会におけるもっとも危険な病原菌である。そのうえこの観念ゆえに、企業の本質、機能、目的に対する誤解にもとづく公共政策の過ちがもたらされている。利益と社会貢献は矛盾するとの通念さえ生まれている。しかし企業は、高い利益をあげて、はじめて社会貢献を果たすことができる。
利潤動機というのは、利益を得るために企業活動を行う、ということ。
それは、害を与えている。と述べている。
利益の本質に対する誤解を生んでいると。
僕をはじめとして、多くの人が、利益を得ることに対してある種の後ろめたさを感じるのは、この誤解があるからだということが明確にされています。
この誤解が、広く浸透しています。
お金は人の心を狂わせる側面があるのは否めません。
よほど気を付けておかないと、手段の目的化がすぐに起こってしまいます。
目的は社会貢献であって、利益を得るのはその社会貢献を行うための手段なのです。
「目的は社会貢献。」
「利益は企業活動を継続するための条件であり、妥当性の判断材料である。」
これは、松下幸之助氏の言うところの、「儲けは社会貢献に対するご褒美」という考え方に一致しています。
こういう考え方は、常に頭のどこかにおいておく必要があると思います。
ビジネスを行う上で最も大切なこと
この考え方は、ビジネスを行うすべての人が、きちんと理解しておく必要があると思います。
ビジネスは誰かの問題を解決すること。
問題を抱えている人に貢献することなのです。
人をだまして、困らせて、お金を巻き上げるようなビジネスが成り立つわけがなく、貢献できないのであれば利益を出すことはできずに、継続できないのです。
企業とは何かを決めるのは顧客である。なぜなら顧客だけが、財やサービスに対する支払いの意思を持ち、経済資源を富に、モノを財貨に変えるからである。しかも顧客が価値を認め購入するものは、財やサービスそのものではない。財やサービスが提供するもの、すなわち効用である。
顧客が価値を認めないものは、企業活動を継続できない。
顧客が価値を認めるものは、財やサービスそのものではなく、効用である。
よく、ベネフィットを示せと言われますが、まさにそのベネフィットこそが、顧客が求めるものであると述べているのです。
この記述は、ビジネスの本質をついていると思います。
まとめ
企業は営利団体ではない。
企業活動の目的は社会貢献であり、利益は企業活動を継続させるための条件であり、妥当性の判断材料である。
顧客だけがその価値を決めることができる。
顧客が求めるものは、効用である。
このことを常に念頭に置いておきたいものです。